2016/2/1/mon

生物が生み出す高効率のエネルギー物質ATP

「人が生み出すエネルギーは、車のエンジンのように物理的にタイヤを回す力として、取り出してしまっては使い道がない。自在に体を動かしたり、新陳代謝をおこなったりと、いつでもどこでも即時に、しかも様々な形で利用できる形態のエネルギーを生み出さないと非常に不便であるからだ。

そこで全身、いろいろな用途に利用できる共通エネルギーとして生み出されるのが主にミトコンドリアが産生するATP(アデノシン三リン酸)という物質だ。

このATPは、ほとんどの生物に共通した科学的エネルギー物質であり、何も人に限ったものではない。

こうして私たちは、このATPによって生命活動を維持するため、日々その原料となる物資を補給してそのエネルギー産生に精を出す事になる。私たちが毎日欠かさずに食事をし、呼吸によって無意識に大気中の酸素を取り入れているのはそのためだ。

さらに、体内に取り入れたこれらの物資は、精密な化学反応によってATPに姿を変え、生命活動の維持に利用される。

ちなみに、年齢や代謝によっても異なるが、1日に延べ50〜100kgほどのATPが作られては消費されるという化学反応を繰り返している。

一般に短時間に大量のエネルギーを取り出そうと考えたなら、その原料となる物質自体を燃やしてしまえばよい。すると燃焼という化学反応によって大量の熱エネルギーが急速に放出されて、同時に二酸化炭素(CO2)と水(H2O)を残して反応が終了する。あとはその熱エネルギーを瞬時に使う方法を考えれば良い。

しかし、ヒトがエネルギーを生み出す過程において、そのような方法をとって良いわけがない。ヒトにとってのエネルギー源、すなわち食物自体を燃やしてしまえば発生した大量の熱エネルギーによって体のタンパク質すべて変性してしまう。何より急速の熱反応によって体そのものが茹だってしまうか、良くて火傷だ。おまけに、生み出したエネルギーも瞬時に熱として大気に放散してしまうので、不効率極まりない。すると体で適時、随所で必要とされるエネルギー需要を満たすことができなくなってしまう。

ヒト(あるいはすべての生物)におけるエネルギー産生は、このような大量かつ急速な方法は、好ましくないことがおわかり頂けるだろう。
そのため、ヒトの細胞内部にはこうした急速な燃焼を避け、さまざまな酵素の作用を利用して、取り込んだ食物からゆっくりと、効率良くエネルギーを取り出す方法が用意されていたのです。

この仕組みこそが、「解糖エンジン」と「ミトコンドリア・エンジン」である。

この仕組みにより、ヒトにおけるエネルギー代謝のATP変換効率はおよそ45%と概算されている。残念ながら残りの55%はATP産生にまわらず、一部が体温維持に使われたのちに無駄な熱エネルギーとなって空気中に放散してしまう。

しかし、ガソリンエンジンのエネルギー効率は14%程度とされ、残りがすべて不効率な熱エネルギーとして放散してしまっているし、ハイブリッド車でさえおおよそその1.6倍(22%)。電気自動車にいたっても3倍程度(42%)とされているので、まだまだ、ヒトのエネルギー効率の方がはるかに優秀であるといえる。」
この内容を読んで思うことは、主にミトコンドリアで産生している、私たちの体のエネルギーとなるATPを、1日に50kg〜100kgが作られては消費されているという事に驚きを感じます。

つまり、私たちの体重以上に主に、ミトコンドリアがATPを1日で産生しているという事です。こう考えると、ダイエットは簡単にできそうな気もしてきます。

そして、衝撃的だった内容に、ヒトにおけるエネルギー代謝のATP変換効率は約45%のみということです。もっと効率的にATPに変換していると想像していましたが、意外と低い?と思ってしまいました。

さらに驚いたのが、車のエネルギー変換効率です。ガソリン車で14%、ハイブリッド車でも22%という変換効率、どれだけ効率悪いの? という感じでるが、エネルギーの変換がいかに難しいか理解できました。

それと同時にヒトの変換効率がとても優秀だとわかり嬉しくなりました。

今回は、ミトコンドリアについては、多く語られませんでしたが、ATPは主にミトコンドリアが産生しております。これからもっと面白くなります。


第一回目「ミトコンドリア革命」を読み解くコーナーでした。
出典:ミトコンドリア革命」(宇野 克明著:東邦出版)

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